交渉ってどのくらいしていますか?
実は私達が思っている以上に交渉は日常的にしているのです。
ビジネスでの交渉はもちろん、飲み会のセッテングやおこづかいアップの交渉などのプライベートに関することも含めて私達は毎日交渉しています。
「丸くおさめる交渉術」を読んで勉強になったことをまとめています。
勉強になったことが多すぎて長い記事になってしまいましたが、興味のある方はぜひ読んでみてください。
あなたの交渉がうまく行かない理由
交渉を苦手とする人がほとんどだと思いますが、なぜの皆さんの交渉はうまく行かないのでしょうか。
それは、自分のメリットばかりを主張し、相手にとってのメリットが一切伝わらないからです。
例えば、子供がお菓子を買ってほしいとお店でわがままを言っている場面を想定します。
子供がお菓子を買ってほしい理由は「食べたいから、おまけがほしいから、みんなが食べているから」などで、親にとってのメリットが一切ありません。
もし、子供に交渉ができると「このお菓子を買うことで、友達との話題も広がるし、みんなに分けてあげることでもっと仲良くなれる。美味しいものを食べて気分か良くなれば、宿題も進むし、宿題が進めばテストでもいい点数がとれるよ。」とお菓子を買うことのメリットを言えばどうでしょうか。
このような頼み方をすると、親は買ってあげるでしょう。いい成績をとることに反対する親はいませんからね。
交渉は自分のメリットよりも相手にとってのメリットを伝えることでスムーズに進めることができるのです。
頭がいい人は喧嘩しない
頭のいい人は相手が喜び、自分が得をする交渉をします。つまりwinwinな関係で交渉を終えます。
交渉というと、自分が勝つことを考えている人が多いのですが、勝つ人がいれば、負ける人もいます。
勝ち負けが決まる交渉なんてその場は良くても、相手の恨みを買ったり、いい関係が築けずそれきりの関係になってしまいます。
交渉の成功とは勝ち負けを決める交渉ではなく、相手が喜び、自分が得をする交渉です。
成功する交渉とは
仕入れ値を10%安くしてこいと上司に指示されたとします。

他社にも値引きしているみたいですね。うちにも同じように値引きしてくれませんか。

これまで、年間100箱を仕入れさせていただきました。来期からは更に生産量を増やすことになったため、150箱を御社から仕入れたいと思っています。そこで価格なんですが、今の単価よりも10%下げていただくことは可能でしょうか。
同じ10%の値下げ交渉ですが、さわやかリーマンの場合はこれまでよりも仕入数を増やす、相手にとってのメリットがありますよね。
このような交渉だと、今後も取引がしやすくなりますし、業績が良ければ更に仕入れ個数の増加を見込めます。
仕入れ個数をもっと増やすとさらなる値引きも交渉できるかもしれません。
一方、どや顔な青年の頼み方も必ず失敗するわけではありませんが、仕入先からは値下げのこと(自分たちのこと)しか考えていないという印象が残り、取引先からもあまりいいようには見られず、長期的な関係を築くことは難しいでしょう。
このように頭のいい人は長期的な利益を考えて交渉をします。
そのためには相手が喜び、自分が得をする交渉が必要なのです。交渉は勝ち負けではなく、長期的に互いにメリットのある交渉をしましょう。
スピード決着を意識しよう
スピード決着はストレスがたまりにくいメリットがあります。
交渉は自分の希望と相手の希望が衝突した摩擦を調整する作業とも言えます。
作業(交渉)が長期に渡れば、自分も相手も疲弊します。なにより交渉のことを常に考えていないと行けなくなることで、ストレスにつながります。
よくある話だと、定価1,000円の商品を800円にしてくれとお願いしたとします。
そうするとメーカーは800円は厳しいので、「900円はどうか?」仕入れ側は更に850円で・・・・とエンドレスに続いてしまいます。
金額が大きくなれば、やり取りの回数も大きくなり、交渉の長期化に繋がってしまいます。
探り探り行くのではなく、最初から「900円にしてくれませんか?予算の都合上900円までしかだせないのです。900円なら御社も利益を得られる金額だと思います。」
と最初から一点勝負で行くのです。
だらだらと相手の妥協点を探って時間をかけるよりは、希望額をさくっと伝えてお願いしたほうが相手にも本音で交渉してきていると熱意が伝わります。
交渉を長期化させずに、さっさと交渉を終えて、浮いた時間を有効活用しましょう。
次からはスピード決着のコツを紹介します。
事前準備をしっかり
一般的な交渉の流れは、その場で要件を聞いて、社内に持ち帰って検討することが多いと思いますが、それでは交渉が長期化しやすくなります。
交渉は事前準備の精度で8割は決まっていると言っても過言ではありません。
事前に相手の希望やこちらの希望を伝えておき、いくつか案を考えておきましょう。
即答が多いほどスピード決着につながります。
ファーストコンタクト
事前準備の次に大切なのは初めて対面したときです。
交渉という作業をするのですから自分の希望を相手に伝えなくてはいけません。
しかし、自分の主張ばかりを話すと、相手からは「自分の利益のことしか話さない人」だと思われてしまいます。
伝えることも大事ですが、相手の話を聞くことのほうが重要なのです。
この人は自社の事情を知ってくれた。親身に聞いてくれたと感じて貰えれば、この交渉では相手に利が多くても、長期的な関係を築ければ、WinWinになります。
レスポンスはすぐにする
当たり前ですが、レスポンスが早いと交渉がスムーズに進みます。
レスポンスが遅いと相手の気が冷めてしまったり、やる気がないと思われたりしますのでメリットがありません。
レスポンスが遅くなる原因のほとんどは仕事が忙しいことよりも、ミスをしてしまわないか不安で判断できていないことが多いのです。
今決断するほうが、明日決断することよりも良い結果になりやすいのです。
今できるベストな決断をしましょう。
回答に期限をきる
あなたのレスポンスがどんなに早くても相手が遅ければスピード決着にはなりません。
「○日までに返事をいただけますか?」「結果はいついただけますか。」とうまく相手にも期限を作りましょう。
交渉の落とし所を見つける
交渉が苦手な方は落とし所を見つけられていない方が多く、交渉が苦手と感じる理由は
- 強気く要望を伝えてもいいのかわからない
- NOと言えずに、相手の要望だけを飲んでします。
- 相手との距離感がわからず、本音が聞けない
などではないでしょうか。
交渉の落とし所を見つけるにはバトナを準備することが重要になってきます。

バトナとは、交渉相手が合意できなくても困らない代替案のことです。相手の妥協点みたいな感じです。
つまり相手が一番重要視していることのみに視点を絞った交渉です。
例えば、パソコンを来週までに用意する必要がある場合を想定します。
見積をとると15万円でした。しかし、他の会社の見積もりは14万円でした。
この場合は14万円でも利益が出ることがわかったので、最初に見積もりを取った会社には13万円で交渉に出られます。
また、バトナは多いほうが交渉をより優位にすることができ、このPCに不要なオプションがある場合は外してさらに安くしてもらうなどがあります。
バトナをより多くするには事前準備(調査)が必要不可欠です。
逆に、事前準備を怠るといい交渉が難しくなります。
WinWinで終えるテクニック
相手の景色を知ることが重要です。
自分から見える景色と相手から見える景色は大きく違うことが多いのです。
例えば、値下げを要望している顧客と値下げには一切応じない店員がいるとします。
それぞれの景色を見てみると、次のような場合があります。
顧客側は30年以上の長い付き合いであるが、営業のレスポンスが遅く不満が溜まっている。
一方で店員側はこれまでに3度も値下げ交渉に応じており、店員を見下すような態度とっている顧客に嫌気がさしている
それぞれの背景には不満やこれまでの経緯が入っていたりします。
相手の景色を知ることで交渉に優位に立つことができます。
この例だと、顧客側は店員への態度を見直すことで再度値下げ交渉を行うことができます。
一方で、店員側はレスポンスを早くすることで、スムーズな取引(サービス)で満足させ、価格相応だと認識させることができます。
ついつい自分の背景や都合で交渉を進めてしまいますが、相手の背景を知ることで、互いに納得のいく交渉ができるでしょう。
強気でいける交渉
交渉を強気で行くかどうかは自分の状況を知ることも大事です。
身近な例だと、お金を払う側が強気で交渉できます。
賃貸物件で敷金を払っていると退去のときに強気に動けるのは不動産側です。
なぜなら修繕費を敷金として先に受け取っているからです。
しかし、敷金のない物件の場合は退去する人が強気に動けます。
このようにどちらがお金を払うかによって立場(強気に動ける人)がことなってきます。
期限を有効活用する
交渉相手にはできるだけ期限を知られないようにしましょう。値下げ交渉に繋がったりします。
今月のノルマを達成できていない場合に「今月のノルマが厳しくて困ってました。ご連絡ありがとう御座います。」なんて言ってしまうと、相手からは「どうしても私と契約したいはずだ。値下げ交渉してみよう」となってしまいます。
売上を伸ばすはずの目的がノルマを達成することが目的になってしまい、会社としてもあなたとしても良い結果にはならないでしょう。
逆に、相手の期限を知ることができると、こちらの交渉を有利にすすすめることができます。
また、会話の中で期限をうっかり教えてしまうこともありますので気をつけてさい。
例えば、「パソコンが壊れた!仕事ができないから今日中に直してくれ!」なんていい方をすると、「この人は急いでいる、どんなに高い金額を提示してもOKしてくれるだろう」と本来よりも高い金額を支払うことになります。
交渉がうまく行く伝え方
肯定して褒める
褒めて嫌な気分になる人はいません。交渉相手を褒めることで交渉がうまくいくこともあります。
例えば、発注先の小さなミスを指摘した場合は、「いつも厳しい納期に間に合わせていただき大変助かっております。ありがとう御座います。実は1点お願いがありまして、パンフレットのページ数が飛んでいることが度々あります。申し訳ないのですが、改善について検討をおねがいします。」
このような言い方をすれば、交渉相手も「真摯に受け止めて、改善案を検討してくれるでしょう。」
この方法は後輩への注意にも使えます。
仕事は早いけどたまに遅刻する後輩に注意する場合、「遅刻するな!」と叱るよりも、「いつも早い仕事に助かっているよ。他の動機にも教えてあげてね。ただ、時々遅刻するのはまずいな。せっかく仕事が早いんだから、遅刻癖が治れば、パージェクトだよ」と伝えたらいいのです。
どんなに相手が悪くてもド直球に伝えてはいけません。
伝え方をちょっと工夫するだけで相手との関係を壊さずに続けられるのです。
拳のおろしどころを作ってあげる
相手が一方的に悪くても「誤解を招くような説明でした。すみません。」と先に謝れば、相手も誤ってくれるでしょう。
お互いに意地をはって何も進展しないよりはこっちが大人になって、先に誤りましょう。謝ることはコスト0です。プライドよりも交渉から得られることに注力しましょう。
肯定からの条件提示(イェス、イフ法)
イェス、イフ法とは、相手の話を肯定してから条件を提示することです。
「来週までに部品を100万円で100ケース用意してくれ」と言われたとします。
残業しないととても間に合わない規模で、さらに利益が見込めない場合、「わかりました。用意します。ただし、次回の定期発注の部品を50ケース多く発注を頂いてもいいでしょうか」と条件をつけるのです。
一方的にダメと伝えるよりも効果はあります。
伝え方によっては相手の要望を受け入れ、自分にもメリットある交渉で進めることができます。